今日も一日健やかに物語を

おもしろいと思ったものを

同人誌

『花弁抄 野菊を焼く』 JOY著 こんな素敵なお爺さんになりたい

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=1623827 いまから亡くなった方を火葬するときに、火葬場に響く「そのひと焼かないでください!」という声。声の主は花束を持って現れた若い女性だった。 親族の誰も、現れた女性のことを知らない…

『千古の風をゆく者』 2019年 海苔著 自由はどこにある?

norikingdom.booth.pm 三◯◯年前、レオタナ帝国に反旗を翻した者たち レオタナによって冷遇されていた者、 ある理想を掲げた者、 貧困にあえぐ者 様々な理由で帝国への不満を募らせた者たちが、 レオタナの東、巨大な山脈の向こうに旅立った。 彼らは自らを『…

『アネクメーネの訪問者』 春井安子著 世界の残酷さと、けれども人間はその残酷さに抗うことができる。

booth.pm この作品を読んでいて感じていたのは、平和な世界だけど、そこに存在している残酷さ。というものでした。 エリックは神父?から性的な虐待を受けていたかもしれなかったり。 エステルは足が氷でできていたことを村中から噂され、母親が生きていくた…

『灯火は明ルイ』 やらゐ著 自分と正反対の人間から自分を知るということ。

やらゐさんの新刊!これはゲットしなければとあれやこれやの手を使って無事ゲットできました。 ですが、モニカは存在自体は知っていたのですが、どんなバンドなのか全然知らないで1回目を読みました。やらゐさんの手腕のおかげもあり、二人の関係性をなんと…

『東の空に沈む』せん著 好きの反対は憎悪

abkai.booth.pm 『東の空に沈む』序章(1/2)新作です! Twitterで週1くらいのペースで連載していこうと思います!復讐と約束が繋ぐ三人の友情(?)と青春のお話です。例によって地味目なお話ですが読んでもらえると嬉しいです! pic.twitter.com/QgypeO3UbG — …

『スタンドアップ!』春井安子著 どうして声をかけてくれたの?

春井さんの物語は、ネガティブなことをつつみ隠さずに描きだしてて読んでいて感情にモロに伝わってくるんですよね、心にぐさぐさきます。そこが素晴らしくて良いなって思うところなんですよね。 娯楽を求めている人はこういった物語を求めていないと思うけれ…

『貴女が生きて』島田ゆうか著 私にとって本当に大切なものは。

www.melonbooks.co.jp こここまでで、島田ゆうかさんの作品の『胡蝶の夢』と『胡蝶の惰眠』を読んできていて、今回はどうなるんだろう?とドキドキでした。シリアス一本とギャグ一本の半々できてるのでこのどちらかだろうなとは思っていて、でも本のタイトル…

『胡蝶の惰眠』 島田ゆうか著 物語の裏側を描く。これはすごい!大発見だ!

www.melonbooks.co.jp さて、こちらの本は『胡蝶の夢』の舞台裏を描いてるというていの内容ですね。あちらの内容がシリアスの暗かった内容にたいして、こちらは『胡蝶の夢』を180度真逆のめちゃ明るいギャグコメディーに再構成されているんですよね。胡蝶の…

『胡蝶の夢』島田ゆうか著 ルールは破ることができる。

www.melonbooks.co.jp 読んでいてこの物語がどう決着をつけるのかが予想つかなくて、ラストであんな展開になるとは思わずに驚いた上に感動してしまいました。 ここからはネタバレがあります。ご注意を。 2010年代の物語の多くが、壁の向こう側に行く『新世界…

『MOMO』 板路 夕著 痛いけれど、忘れたくない

1人の少女が『百日荘』という集合住宅に迷いこむ、ひと夏の少し不思議な体験。劇中のなかで様々な本が描かれているのですが、そのラインナップがどれも幻想や空想世界の物語で、この作品を読んでいるときに感じていた幻想的な印象が劇中にでてくる本のよう…

『Winter green daydream』 板路 夕著 終末なにしてますか?

コミティア130(19/11/24)の新刊コピー本。(無料配布!!) 板路夕さんの物語を読んでいてると、自然と異世界に連れていかれる感じがしてとても好きです。今回はどんな世界に連れていってくれるのだろう?とワクワクしながら読んでいたのですが、今回はまさ…

『らっことかわうそ (後)』 春井安子著 伝えることの難しさの葛藤と苦悩、それが美しい

前編の記事はこちら kenkounauma.hatenablog.com 読んでるあいだずっと胃がキリキリと締めつけられていました。 前編では岸本嵐子(らっこ)が、河浦颯子(かわうそ)のことを好きだと自覚するところで、物語は後編に続きます。この流れを観たとき、いまの百合…

『水色を見ず』やらゐ著 あの頃の約束覚えていますか?現実に押しつぶされてませんか?また会ってくれますか?

やらゐさんの新刊は前回のBDP7thで出されてた準備号の続きですね、楽しみに待ってました。 準備号で生殺し状態にされていたので、今回の本で結末を見れて良かった。 www.melonbooks.co.jp 自分の気持ちと相手の気持ちにどれだけ乖離があるか?を気にする気持…

『りんあこiSM vol.2』 パピラブ著 可愛すぎるので何億枚でも書いて欲しいです(切実)

www.melonbooks.co.jp 前の記事でも書いてますが、パピラブさんの絵柄マジで可愛いです・・・・・。見てると心がめちゃくちゃ癒されます・・・・・。 kenkounauma.hatenablog.com 感想はこれに尽きるのですが、どこが良かったのか?を紹介するためにブログを…

『煌めき』 ハマダアキコ著 少女たちの煌めき、私はそれが観たいのです。

よかった、よかったんだ。今回の即売会、行く前までスタァライトが併設で行われてるの全く知らなくて、カタログをみてから初めて気がついたんですよね。それでカタログに載ってるサークルカットがいいなと思って購入したのですが、もう本当に手に入ってよか…

『よあけのヴェイパー』板路 夕著 神がいないこの世界で天使を作った人間はなにを求めていたのか?

やっと今回の新刊まで追い付きました。板路夕さんの作品に触れるのは 2019/8/25 のコミティア129 が初で、今まで記事に書いてきた3作と今回の1作までしか追えていないのですが、やはりなんといっても空気感がいいんですよね!ふわふわしてるというか、現実…

『手島さんの墓』 板路 夕著 水の味がわかるということ

板路夕さん感想、第三回目です! part1、2はこちらです。 kenkounauma.hatenablog.com kenkounauma.hatenablog.com 板路夕さんの作品『明るい水槽』『DEPT』『よあけのヴェイパー』を読み、そして今作について考えていました。板路夕さんの作品群の共通点は…

『DEPT』板路 夕著 次世代の物語。これがコミティアの素晴らしいところなのかもしれない。

www.pixiv.net 板路夕さん本感想part2です。板路夕さんの本を今回のコミティア129で沢山手に入って、どれも素晴らしいなぁとなっててほくほくしています。 part1はこちら kenkounauma.hatenablog.com 全体を通して感じることとして生と死の狭間を覗き込んで…

『明るい水槽(へや) 彼女についての覚書』 板路 夕著 世界との調和を図るために

この不思議な読後感を誰かとこの感情を共有したいなーと思って、ネットの海にダイブしたんですけど全然感想書いてる方がいなくて、なんで!?みんな知らないのか?となったのでそれなら布教者に俺はなる!!(ドンッ!!) いや、すでに板路 夕さんの作品はコミ…

『らっことかわうそ(前)』春井安子著 この感情に名前をつけるなら

めちゃくちゃてぇてぇんだよ!!!!!ってことを大きな声で叫びたくなる素晴らしい本です。この物語のどこがてぇてぇのかは実際に読んで確かめてほしいです、実際に読んで衝撃を受けてほしい。 ここからはネタバレありの読んだ前提で書いていきます。 岸本…

『おたえの日常短編集(千聖割増)』 糸洲著 日常を楽しく生きたいなら表現して伝えろ!!

www.melonbooks.co.jp 今回の糸洲さんの本は、本のタイトルにある通りに『花園たえの日常』を描いています。おたえが日常を幸せそうに過ごしている物語です。でも、これが日常の物語を描いた『けいおん』とか『ゆゆ式』とかの普通の女の子が主人公の物語では…

『ガルパペコ花』オニヨメ著 花咲女子オンリーギャグ。い、勢いが凄い(笑)

表紙の有咲かわいいですね!! オニヨメさんの新刊毎回楽しみにしているんですが、今回ももの凄い勢いのある展開で、怒濤のギャグで息もつかせぬ感じであっという間に読み終えてしまいました。 色々お気に入りところがあって、杉下香澄さんとか「な、なんだ…

『Lemuria.』えぬ著 そこにあなたが居るから私は私でいられる

www.pixiv.net BDP7thで入手したこちらの本なんすが、最初は表紙が綺麗でいいなと思って手にとって、中を見てモカと蘭の異世界物だ!!ってパラ読みしただけでわかる世界観が描かれていて、面白そうだ!と思って購入しました。 本の内容を紹介すると ネタバ…

『ハイライトネガフィルム研究所』春井安子著 キミの人生はキミのものだ。

基本的にネタバレと適当なことを書いてます!! 去年のコミティアから春井さんの作品を追っているのだけど、今回の作品はいままでの作品の雰囲気と比べると、ものすごく明るくって(これで明るいって思うくらいだからいままでの作品をどれだけ暗いと思ってい…

『島とビールと女をめぐる断片』たいぼく著 広い世界を見ることで人は変わる

www.melonbooks.co.jp こちらは『ブルモーメントの女達』に対するアンサーなのかなと。 三人の女がいるが、明らかにユッコは一歩引いた位置にいると感じる。だからこれはハヤセとフミの二人の物語なんだ。そして、最後にユッコがかっさらうがこれは半年たっ…

『ブルーモーメントの娘たち』たいぼく著 世界は残酷で美しい。

ec.toranoana.shop 読んでいることを前提に書いてますのでネタバレあります! 最初読んだときは二人の女が○してしまったので、それを処理しに行くお話にかと思ったんですが、ラストまで読んでようやく、これが一人の人間の二重人格の話なんだと理解しました…

『This Communication』糸洲著 これぞまさにこの方のコアを描かれた作品だと思います。

自分が糸洲さんを知ったのはバンドリ二次創作の『花園ランド』でした。糸洲さんの作品はとても不思議で、(いま考えると、最初からこれを言っていたのだと解釈できますが)自分はこの方の作品を読んでいて感じたのはこの世界を生きるのに必要なこととは一体…

『32歳からはじめる青春』蛙山芳隆著 学生時代、青春を送れなかった作者の描かれた、青春を始める本。どんな自己啓発本よりも弱者に寄り添った素晴らしい自伝。

www.melonbooks.co.jp これを読んで思ったのは、人生のペースが変わりつつあるのではないかな?ということ。『LIFE SHIFT』 だとこれからの時代、人は医療の発達で100歳まで生きるだろうという予測が立てられ、そのために100歳までのライフステージを考えよ…

『錨を揚げる』ちょめ著 毎日の仕事で疲れきっている社会人はどうにかして休んでください・・・。

前の記事からの続きです kenkounauma.hatenablog.com あ、ネタバレが多少あります。 前の記事でも書きましたが『喫茶フロンテーラ』を読んでからこちらの本を読んだので、最初はおぉ、こっちは『海』か!どんな世界を魅せてくれるんだろうとめっちゃわくわく…

『喫茶フロンテーラ』 ちょめ著 背景の書き込みから感じる、世界がそこにあるという感覚。

先日(令和元年5/12)のコミティアでの戦利品です、立ち読み(?)させて貰い、建物などの背景の美しさに魅せられてこれは素晴らしいものだと自分のなかのゴーストが囁いたので購入しました。 ネタバレが多少あるので注意を。 世界がそこにあるという感覚とタイ…