今日も一日健やかに物語を

おもしろいと思ったものを

漫画

『植物病理学は明日の君を願う』竹良実千代 植物が枯れれば人類は滅亡する。

植物が病気になることで、なにが起こるのか?それは、最悪の場合人類の絶滅である。 現代科学であれば人間に害を与える細菌を作り出し、そしてばら撒くことは可能であろうことを世界は知っている。そんな現代科学であれば、植物に対して害を与える細菌をばら…

『天使の棲む家』津田雅美著 価値観が変わることで、わからなかった魅力がわかってしまうことの面白さ

短編4作と、その短編4編のその後を書いた短編集。 4作ともに通底しているテーマは『自分が感じていることをどう定義するか』で、どれも葛藤を得て自分の状況を定義していく。4作全部とても素晴らしかった。 特に好きなのは『わたしは行かない』で、好きな人…

『青野くんに触りたいから死にたい(10)』椎名うみ著 親には親の、子には子の人生がある

これはただの恋愛物語ではなくて、本当に幸せになるために恋人同士はなにを解決しなくてはいけないのか?を追求する恋愛物語。 今巻ではついに青野くんの母親にスポットが当たり、子供時代の青野くんの家庭での立場は悲惨だったことがわかります。 青野母は…

『乙女怪獣キャラメリゼ 7』蒼木スピカ著 ついに謎が明かされた

ちょくちょく出てきていた怪獣になっちゃう理由が明かされ、物語が前進。でも怪獣擬態の先に待つのは完全な怪獣化という設定。これを黒絵は拒否しているけど、どう解決するのだろう?愛の力という線はすでに謎の部族の族長の花嫁が怪獣化から逃れられていな…

片田舎のおっさん、剣聖になる~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~1 乍藤和樹著 佐賀崎しげる原作 何者にもなれなかったおっさんになったっていいんですよ。

辺境にいた只のおっさんが、実は只者じゃなかった、、、! 一昔前前だったら、このおっさんなる人物像は「やれやれ系」のやる気ないけど、やる気出したら凄い。や「若い子相手に本気出せないでしょ?」みたいな、人生擦れているようなおっさん像が印象にある…

『ルート』秦 和生著 夢の先にまた夢が

最終巻だったんですね、、、。 この物語がどこに辿り着くのか捉えられなかったので、どこに行くのか分からなくて続きを楽しみにしていました。 物語の軸が2人の主人公の女性と王子ある。 女性は女でも勉強をしていい世界を、学んでもいい世界を作りたいと考…

『花弁抄 野菊を焼く』 JOY著 こんな素敵なお爺さんになりたい

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=1623827 いまから亡くなった方を火葬するときに、火葬場に響く「そのひと焼かないでください!」という声。声の主は花束を持って現れた若い女性だった。 親族の誰も、現れた女性のことを知らない…

『千古の風をゆく者』 2019年 海苔著 自由はどこにある?

norikingdom.booth.pm 三◯◯年前、レオタナ帝国に反旗を翻した者たち レオタナによって冷遇されていた者、 ある理想を掲げた者、 貧困にあえぐ者 様々な理由で帝国への不満を募らせた者たちが、 レオタナの東、巨大な山脈の向こうに旅立った。 彼らは自らを『…

『死ぬときはまばゆく』小鳥游ミズキ著 いい展開だなぁ。逃げずに答えを出そうとしてる

面白いなーと思いつつ、どこがおもしろいのか?を説明できなかったのですが5巻まで読んで、ようやくどういう物語なのか?が解ってきました。 母親から愛されなかったトラウマをどう解決するのか?ここで彼氏が出来て、ハッピーエンド!にはならないんだよね…

『廃墟のメシ』ムジハ著 人間か人間でないか。そうじゃなくて、自分が自分であることに自信を持てればそれでいいんだ。

物語は昔少女が食べたカレーを探すために、命の危険も顧みずに危険な廃墟の中へと突き進んでいくというもの。 1度だけ食べたカレーライスの味が忘れられなくて、それを探すために死ぬ可能性のある冒険をする。というのがついこの間Twitterで見かけたこの記…

『アネクメーネの訪問者』 春井安子著 世界の残酷さと、けれども人間はその残酷さに抗うことができる。

booth.pm この作品を読んでいて感じていたのは、平和な世界だけど、そこに存在している残酷さ。というものでした。 エリックは神父?から性的な虐待を受けていたかもしれなかったり。 エステルは足が氷でできていたことを村中から噂され、母親が生きていくた…

『灯火は明ルイ』 やらゐ著 自分と正反対の人間から自分を知るということ。

やらゐさんの新刊!これはゲットしなければとあれやこれやの手を使って無事ゲットできました。 ですが、モニカは存在自体は知っていたのですが、どんなバンドなのか全然知らないで1回目を読みました。やらゐさんの手腕のおかげもあり、二人の関係性をなんと…

『赤髪の女商人』のゆ著 中世ファンタジーの世界で商人はどう生き残るか。

おぉー、面白い!たしかこの作品を知ったのは、大好きな『騎士譚は城壁で花ひらく』の作者さんのTwitterで知ったような気がします。 以下、内容の説明。 なーろっぱと言われるような中世的世界ですが、冒頭の説明から、この世界はぼーっとしていても社会機構…

『騎士譚は城壁の中で花ひらく』普段は意識しない騎士見習いの日常

確か新刊漫画の中から見つけての表紙買いだったかなぁ。読んでいるときはとにかく、いい、うん、いいね。っていう感じで言語化できなかったんですが、ちょっとどこがいいのかを考えたら、たぶん見習い騎士っていうのを描いていて、さらにその生活圏内の風景…

『蒼井くんにはかなわない』押川いい著 日朝魔法少女アニメが好きなんだよ!

この作品は確かTwitterで1話目を読んで好きになったのだと思います。この作品のどこがすきか?を考えると、絵のかわいさと、明るいギャグ、そしてなんと言っても押川くんが日朝魔法少女を好きなところですね。といっても自分は日朝魔法少女ものは『HUGっと…

『すみっこの空さん』たなかのか著 世界を感じることとセカイを想像すること

すみっこの空さん 1巻 (コミックブレイド) 作者:たなかのか 発売日: 2018/11/05 メディア: Kindle版 ストーリー ご主人の絵本作家と一緒に田舎に引っ越してきたカメのプラトンは、そこで空さんという女の子に会いました。これは大きな世界のすみっこで、空…

『スタンドアップ!』春井安子著 どうして声をかけてくれたの?

春井さんの物語は、ネガティブなことをつつみ隠さずに描きだしてて読んでいて感情にモロに伝わってくるんですよね、心にぐさぐさきます。そこが素晴らしくて良いなって思うところなんですよね。 娯楽を求めている人はこういった物語を求めていないと思うけれ…

『貴女が生きて』島田ゆうか著 私にとって本当に大切なものは。

www.melonbooks.co.jp こここまでで、島田ゆうかさんの作品の『胡蝶の夢』と『胡蝶の惰眠』を読んできていて、今回はどうなるんだろう?とドキドキでした。シリアス一本とギャグ一本の半々できてるのでこのどちらかだろうなとは思っていて、でも本のタイトル…

『胡蝶の惰眠』 島田ゆうか著 物語の裏側を描く。これはすごい!大発見だ!

www.melonbooks.co.jp さて、こちらの本は『胡蝶の夢』の舞台裏を描いてるというていの内容ですね。あちらの内容がシリアスの暗かった内容にたいして、こちらは『胡蝶の夢』を180度真逆のめちゃ明るいギャグコメディーに再構成されているんですよね。胡蝶の…

『胡蝶の夢』島田ゆうか著 ルールは破ることができる。

www.melonbooks.co.jp 読んでいてこの物語がどう決着をつけるのかが予想つかなくて、ラストであんな展開になるとは思わずに驚いた上に感動してしまいました。 ここからはネタバレがあります。ご注意を。 2010年代の物語の多くが、壁の向こう側に行く『新世界…

『見上げると君は』 小堀 真著 きみは悪くない!!

こちらの作品を知ったのはツイッターで見かけてからなんですが、コミックスを買えたのがつい最近です。読んでる最中、ものすごく多幸感に溢れてる物語で、渋木君の変わりたいって気持ちと実際に行動する姿に、渋木君すごいなって・・・、涙がでます。 夜に御免…

『孤食ロボット』岩岡ヒサエ著 生活することの難しさと大切さに涙が

2019/10/18現在、AmazonKindleにて期間限定無料で読めるみたいで、オススメされていたので気になって1巻読んでみました。 孤食というのはこの漫画のために作者が作られた造語なのかな?と思っていたのですが、どうやらもともと世の中にある言葉なんですね。…

『タビと道づれ』たなかのか著 地上に輝く星々の物語

ゆy 結構だらだらと長文を書いてしまったので、先に結論から言うと、 素晴らしい傑作だから読んで!2000年頃の日本の若者がいったいなにに悩んでいて、そしてそこから脱出するためにどうしたか?がよくわかる物語でした。 というようなことをここから下…