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おもしろいと思ったものを

『燕結芽の本』 びびーすと著 これは結芽の成長を描いた物語です!

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こんな未来が見てみたかった。と思いました。この作品に出てくる結芽は復活して、やる気がなくなっている。それは自分がなぜ生きているか?という悩みを抱えているからではないだろうか? アニメ本編で結芽は可奈美との決着をつけられないまま亡くなってしまったわけだが、この作品のなかではその機会がおとずれたとき、結芽はやる気がないのだ。


そして、なぜやる気がでないのかを真希に打ち明けるのだが、真希は自分の戦う理由を説明する、真希の戦う理由を守ることとしたのはそうだよなーと思った。

 

真希は強くなりたいのは自分の力を見せつけたいわけではなくて、人々を荒魂の脅威から守るため、だから胎動編の真希は一人で荒魂を祓っていたのだと思うのだ。
真希のように立派に戦う理由がないと結芽は嘆くんですが、それに対して真希はそれでいいんだと言ってくれる。


ここのシーンがめっちゃすきです、これ、アニメで色々間違えながらも進んできた真希が言うってのがとてもよくて、あぁ、真希も成長してるんやなぁってわかる、これは確実に上に立つ存在になるよねってか、こんなリーダーについていきたくなる。


この結芽に言ったそれでいいんだっていう流れが最近読んでる『茉莉花官吏伝』で茉莉花が官吏になれるけど、自分は国を救いたいとかそういう使命を持っていなくて、だからそういう使命をもった人がなるべきだと思って、そんな自分は官吏になるのにふさわしくないと思っていたんですが、実は回りの人に聞いてみると、なれるなかで給料がよかったからとか、家の格をあげるためだとか。

 

国を救うため!みたいな崇高な理由なんてなくてもいいんだってことがわかって、それで自分は官吏になることでなにがしたいのか?を見つけることになる。っていうのがあって、結芽も巫女としてなにか崇高な目標がないといけないと思っていたのだと思うんですよね。でもそんな崇高な理由じゃなくても、自分なりの理由でやってみればいいじゃないか、という答えが提示されていて、うおー、いい話だなー!とうるっときてしまった。そして、結芽の両親にまつわる真実はとても優しくて、ありえないないのだけど、でもこういう救いがあって欲しいなぁとは思うのだ。


結芽はこして様々な経験を通して、成長したのでしょう。先日までは退屈だった日常が、今日は朝起きた時から輝いてみえている。だからこそのラストの台詞「今日は、なにをしようかな」だと思うのだ。


あと、刀使同士の戦闘が静かな感じがしてカッコいいなぁと。表紙でとっても損していると思うなー(苦笑)中身はとても真摯に結芽が描かれているのでこれを手に取れて良かった。

 

【ゆっくり解説】三幕構成を通して観るけものフレンズ一期 http://nico.ms/sm34764041?cp_webto=share_others_androidapp

最近観たこれの中で、物語を観るのは精神的な変化をお土産として持ち帰れるからである (20:54頃)とあるのだけれど、自分の中でなぜ物語を観ているのかということに対して漠然と思っていたことが言葉にするとこう言うことかと納得したのですが、今回の結芽も精神的に成長していて、やっぱりこういう物語が好きだなーと思う。さらにこれが世界と接続されている物語だともっと好きなので長編が読んでみたいなと期待してしまいます。