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『Neo Fantasy Online ー邂逅ー』(1) 糸洲著 異世界という非日常でサバイバルすることでいまを生きることの大切さを思い出す。

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「糸洲」のプロフィール - pixiv
www.melonbooks.co.jp

糸洲さんの作品はとても独特な印象を受けます、何故かな?と思うのだけど、たぶん描かれている異世界感の書き込みが素晴らしいからだと思う。前作(?)の『花園ランド』も凄い書き込みの異世界が描かれていますよね。

 

異世界という舞台を設定しているのは、非日常の演出と、そこでサバイバルするなかで危機的状況でこそ人間の本質が見えてくるからだと思うのですが。たとえばサバイバルものと言えば『バトル・ロワイアル』を思い浮かべるのですが、人は命をかけて動くときこそその人間の本質が見えてくる。それと、動機レスの人間とうか、いまやらなくてもいいと思っていることも命を賭けて動かないといけない極限状態では、それをいまやらないと次の瞬間には死んでしまうよ?という状況をつくることができる(らしい)んですよね。メメントモリって奴でしたっけ?

 

『花園ランド』ではSPACEが閉店することにショックを受けた花園たえを有咲が救う話なのですが(アニメ9話頃ですかね)、ここでおたえとありさは冒険を通して様々な特別な体験をしていきます。この特別な体験を共有するのは『宇宙よりも遠い場所』もそうですね。この特別な体験を共有した友達は、もう他の人間と代替が出来ないので、本当の友達と呼べる関係性になるんですよ。だからありさは冒険を通して、おたえともっと関係性を深めたから、自分のホンネをさらけ出して叫ぶんですよ

「友達ができてずっと欲しかったから」
「だから帰ってきてよ!!これからもずっとおたえとバンドしたいよ!」

ちなみにおたえがありさに対してなにも言わないのは、べつに必要ないからだと思うんですよね。このダンジョン花園ランドっておたえの内面だと思うんですが、つまり、ありさはずーっとおたえのホンネと会話しながら冒険していたということになるんですよね。だからおたえからなにも言う必要はないんです。

 

でも、この作品がなによりも素晴らしいのは一見不思議な人間である『花園たえ』をちゃんと傷つく人間として描かれたことです!!これを読むと9話でショックを受けたおたえが実はこれだけの葛藤を乗り越えていたんだ!という風に思い至るわけですよ。いや、めちゃめちゃ凄くないですか?エッモ...。


『花園ランド』の感想になってしまった。『Neo Fantasy Online ー邂逅ー』は次の記事に書きます・・・。

 

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