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おもしろいと思ったものを

『まほうつかいの遺言書』 ひろこさん  君のいない世界に希望はありますか?

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booth.pm

一度読んだだけでは理解が出来なくて、二度、三度、四回目くらいで、ようやく3割くらいなら理解できた(と思いたい)ので読んでみての妄想を垂れ流していきたいと思います。

ネタバレ有りなのでご注意。

 

えーっと、なぜ理解が出来なかったのかを説明するとセラヴィはなんで灰になってしまったのかがわからなかったんです。作中ではずばりこうだと言葉では説明をしてないので、なんで灰に?ってなりました。
ただ、何度か読み直すと彼の台詞、行動から読み取れることがわかります。場面は市街戦が繰り広げられいる?ところから始まり、誰かが死に少女に星が宿ります、そしてセラヴィは少女に宿った『七ツ星』を見て少女を保護することにしました。彼はこの時 「あれは俺の七ツ星だ!」 と叫んでいます。この台詞の前にセラヴィは星の宿った少女を焼こうとしていたのは星が宿った少女を殺せばその星が自分のものになると思い込んだためでしょう。ですので、セラヴィがこの七ツ星に執着していたことがわかります。(ここの少女が燃えているところは違う理由かも······)
星は殺した相手から奪うか、遺言状に譲渡する相手の名前を書くとその相手に星が宿るようなのですが、セラヴィに七ツ星が宿らなかったと言うことはその元々の持ち主は遺言状にセラヴィの名前を書いてなかったことになります。セラヴィはそのことに「俺一枚くらい俺の名前を書いてくれてると思ったんだけどなぁ」と呟いています、つまり彼はこの元々の持ち主と親しい関係だったことがわかります。あ、それと少女を保護する時も「俺たちの家に連れ帰る」と言っているので

1.二人で暮らしていた
2.星を渡したくなかった
3.親しい関係だった

これから読み取れる関係は二人が恋仲であったか少なくとも知り合い程度の関係ではなかったと想像できます。

でもならなんで元々の持ち主(以下、七ツ星さんと呼称します)はセラヴィに星を譲渡しなかったのかという疑問が浮かびます。星はその数だけ魔法を使うことができる(?)ようなので、魔法使いにとって星の数は自分の生命に直結するので星があればあるほどいいのは間違いないのです。なのになぜ譲渡しなかったのか?これはセラヴィを視ていると、彼は優しい人なんだということがわかります。部下に慕われているし、仲間から星を譲渡されたことがあるようですし。だからこそ七ツ星さんは譲渡しなかったのだと思われます。つまり、星の数だけ魔法が使えるということはそれだけ戦争に利用されるということですから、星を譲渡したらセラヴィの戦いは続くわけですね。それに星を託されたのであればそれに責任を感じ、仲間だった者の分まで彼は戦ったことででしょう。そんなツラい役目を負わせることを良しとしなった七ツ星さんが星を譲渡しなかったのもわかります。それに優しいセラヴィは守るもの(七ツ星さん)がいなくなった世界で戦い続けることができないと思われます、しかし誰が七ツ星さんを灰にしたのか、灰にならなければいけなかったのかを考えるとそれは『軍』が悪いとなり、それを壊滅するためにセラヴィは動けたはずです。ですが彼はそうしませんでした。たぶんですが、もし七ツ星さんから星を譲渡されていたらそこに意思を感じ、軍に復讐していたはずです、ですがしなかったのは星を譲渡されなかったからではないでしょうか?七ツ星さんはそういう意味も込めて譲渡しなかったし、セラヴィもその意思を悟って復讐しなかったんだと思います。

さて、ここまできてようやく『なぜセラヴィは灰になったのか』に答えることができます。それは七ツ星がもうこの世に居ないからですね。大切な人、戦うべき、生きる理由だった人がもういない絶望感、しかし軍に復讐することもできない。ならばもうこの世に生きている理由はない、だから彼は灰になった······。


ですがそういったネガティブな理由だけではないと思われます。セラヴィは焼かれる前に笑っていました。寂しげにですが。これは七ツ星さんがしたことの逆のことをセラヴィはしたわけですね、でもそれが七ツ星さんへの裏切りになるでしょうか?そうではないと思います。だって普通は大切な人には長生きして欲しいですよね?たとえそれが苦難の道であっても。七ツ星を託された少女はセラヴィに魔法を使うときこういいます。

「わたしは戦争には行かないし、殺さないし、死にたくない『そのためにどうしたらいいかを教えろよ』!」

彼女もまた心優しいものです、ですが彼女が魔法使いであるかぎり戦いは避けられない。戦争に行かない、殺さない、死にたくないはすべて不可能なんです、でもそれを可能にするのはなにか?魔法です。魔法は星の数が多ければ多いほどいい、だからこそセラヴィは彼女に星を託します。でも殺させることはなかったって?そうでしょうか?ここは魔法使いが利用される世界です、綺麗事だけではどうにもならないことがあるでしょう、時には手を汚さなければならないことも。その時がきたときに、経験があるのとないのではどちらが有利でしょうか、ある方だと自分は思います。だからこそセラヴィは自分を燃やさせた。優しさとはツラい現実から目を背けさせることではなく、現実を見せ、その上でどうするかを教えることも優しさだと思います。セラヴィは優しいからこそ自分を燃やさせたんです。

彼の墓標にはこう書かれています

「四ツ星のセラヴィ因果をほどかれ還る魂の安らかならんことを」

これ、誰が書いたか知らないとありますが書いたのは少女だと思うとこうよめます。少女は彼の絶望を悟ったのだと思います、とすると彼の願いもまた悟ったはず。だからこそ因果だとわかっている星を継がせたことを赦し、燃やさせたことを赦し、墓標にそう書いたのだと思います、思いたいです!でもやっぱりちょっと赦せないから「知らない」と言ってみたのではないかなー


ふー、以上です。もー完全な妄想なので全くこれっぽっちも理解できていないかもしれません···。なのでここはこうだ!と教えてくださる人がいれば教えてください(泣)

 

好きになった人の作品は全部読めという教えがあるので出されている作品全部読みます!