『天使の棲む家』津田雅美著 価値観が変わることで、わからなかった魅力がわかってしまうことの面白さ
短編4作と、その短編4編のその後を書いた短編集。
4作ともに通底しているテーマは『自分が感じていることをどう定義するか』で、どれも葛藤を得て自分の状況を定義していく。4作全部とても素晴らしかった。
特に好きなのは『わたしは行かない』で、好きな人ができたことで自分の世界が広がり、広がったことによっていま付き合っている人とは別の人の魅力がわかるようになり好きになってしまう。
それを彼氏に対する裏切りと断ずることは簡単だけと、そうじゃなくてこの新しい魅力を発見できたことがとてもキラキラと輝いて見えるんです。自分の世界しかなかった人間が、世界が広がったことでわかってしまう魅力という。
この三角関係が、とても面白くて、好き。