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『青野くんに触りたいから死にたい(10)』椎名うみ著 親には親の、子には子の人生がある

青野くんに触りたいから死にたい(10) (アフタヌーンコミックス)

これはただの恋愛物語ではなくて、本当に幸せになるために恋人同士はなにを解決しなくてはいけないのか?を追求する恋愛物語。

 

今巻ではついに青野くんの母親にスポットが当たり、子供時代の青野くんの家庭での立場は悲惨だったことがわかります。

 

青野母は夫を亡くし、シングルマザーとして子育てをしなくてはならなかった。でも彼女はその生活には耐えられなかった。

 

でも、この母親の弱さを否定出来なくて、これって、あり得たかもしれない優里ちゃんの姿でもあるからなんですよね。

 

もしも、青野くんが霊体として優里の目の前に現れなかったら、優里も青野母のように、愛しい人をなくし、その死を受け入れられず、寂しさを忘れさせてくれる相手が現れたら流されてしまうかもしれない。

 

青野くんから見た、優里と青野母は似ているんですよね。
だから青野くんは母の面影を優里に見たのかもしれない、そして今度こそ救おうとしたのかもしれない。救うのであれば、その人が過去にどんなトラウマがあるのかを理解してその状況からの脱出の手伝いをすることが必要です。

 

優里のトラウマは家族に愛されなかったこと、そして青野くんのトラウマは母親を救えなかったこと。このトラウマからどう脱出、解決するのか、今後の展開がとても楽しみです。