今日も一日健やかに物語を

おもしろいと思ったものを

『赤髪の女商人』のゆ著 中世ファンタジーの世界で商人はどう生き残るか。

赤髪の女商人1 (アルファポリスCOMICS)

おぉー、面白い!
たしかこの作品を知ったのは、大好きな『騎士譚は城壁で花ひらく』の作者さんのTwitterで知ったような気がします。

以下、内容の説明。

なーろっぱと言われるような中世的世界ですが、冒頭の説明から、この世界はぼーっとしていても社会機構が助けてくれるような世界ではなくて、自らの力で生き抜いていく力がある人でないと生きていけない。

そんなことはわかっている主人公である赤髪の女商人「リアンノン」

彼女は立派に自分の力で生きてきたが、偽金を作り、市場に流した罪に問われてしまう。

権力者が絶対の社会でなんの後ろ盾もないリアンノンには自分の罪が冤罪であることを証明することができずに有罪が確定し、偽金を補填するための莫大な補償金を用意するか、できなければ絞首刑に処せられてしまう。

補償金を用意することに決めたリアンノンだったが、期日内に用意することは難しい為一度逃げることを選択する。

と言った感じですね。

彼女が逃げ出した先は修道院なのですが、修道院では一定期間保護されるということを知っていたから。
ですが、逃げ出した先である修道院の経済状況はめちゃくちゃ悪いんですね(笑)
ごはんの量が少なくて、倒れてしまう人が出るくらいには。

そんな修道院の経営状況を(まともな食事にありつくために)改善するために動き出したリアンノンは商人の目線からどこがダメなのかを導いていく。

基本的には修道院の人たちがぼーっとしているせいで、土地の貸賃を貰えてなかったり、敷地内で栽培している作物が盗られていたりといろいろあったりなんですが、まぁもしかしたら盗んでいる人たちも生活が苦しいからなのなかなーって思ったりしたんですが、そうじゃない!ってリアンノンが見抜くシーンは確かになぁってなります。

お次は北欧のヴァイキングが攻めてきて!?といろいろあるんですけど、続きはぜひ本書を買ってお楽しみください!!!


■力が無ければ搾取されてしまう世界で生きていくということは?

リアンノンのおかげで修道院の経済状況は改善されていくので、やっぱりこの世の中は弱肉強食、食うか食われるかなんだな。って思ってしまうのですが、そもそもリアンノンが助かったのは修道院という場所があったからなんですよね。もちろんそれも知識として知っていたからそれを使えたといえばそうなんですが、自分個人の力でできることはたかが知れているということを示しているんだと思うんですよね。

こちらの三宅香帆さんの記事で

note.com


これをみてなるほどなぁと思ったのですが、ひと昔前は個人の能力を上げてお金を稼がないと生きていけない時代なのだ!的な空気はyoutuberが売れてたり、子供たちの将来なりたい人気の職業がyoutuberだったりしてることからそうなのかなーって思うんですけど。でも、個人の力なんてたかが知れている。これもまたyoutuberの話になってしまうのですが、人気がある人も自分だけでやってるんじゃなくてコラボ企画でやってたり、グループでやってたりと自分だけじゃなくて、誰かを巻き込んでいることが多いですよね。

だから個人の力だけでは、この世の中を生き抜いていくには柱が少なすぎるってことかな?周りを頼って、柱を増やして、一本折れたとしても他が支えてくれるようにする、ようは居場所を確保するってことなのかな。

そうすると今度は居場所が欲しい、友達が欲しいの、友達症候群が出るのかも?でもそれを回避するためには個人でも生きていけるという自信が必要で、それがあると友達が出来たり、居場所が作れたりするっていう、結局は個人の力がまずは必要になってくるんですね(笑)

話がそれたので戻して、うえで言ったことは2巻で出てくる少年領主を見てるとわかると思います。
というか2巻は登場人物の成長がいろいろ見られるエピソードが多くて、聖女として崇められていた「エディス」のエピソードや、少年領主のエピソードなんかは人が成長した瞬間を見れるので必見です。


あ、あと作者さんがもう一つ連載している『青色の遺産』もめっちゃ面白いのでぜひぜひ。単行本化してほしいです、アルファポリスさん!

www.alphapolis.co.jp