今日も一日健やかに物語を

おもしろいと思ったものを

『白鷺千聖が丸山彩と同棲するまで』※の人さん

 

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www.melonbooks.co.jp

最近ようやく小説を読めるくらいに本が消費できてきたので、積んであった同人誌を読んでるんですが、なんというかこれは新しい気付きがあり感動しました。

 

ネタバレを含んでいるので読んでない人は気をつけてください。

 

 

 

こちらの本、彩と千聖、紗夜と日菜、麻弥とイブのカップルが出てて来ます。どのカップルも一緒に生きていくことを誓っているのだが、カップルによってその心持ちが違う、それはいまの時代の同姓カップルに対する世間の目や、法を考えた結果だ。紗夜と日菜は姉妹であるため、一緒に暮らしていても不思議には思われないため普通に一緒に暮らしている(日菜は世間の目など全く気にしていないが)。麻弥とイブは一緒に暮らしている、そして結婚することまで考えているみたいだ。この二人はすでに家を購入しており、また職業的に芸能人ではないので同姓婚による周囲の反応というものに対して精神的にハードルは高くなかったのだろうか。では、今作の主役である彩と千聖はというと、二人とも仕事は芸能活動をしており、彩はアイドル、千聖は女優で活躍していた。千聖は彩と付き合っているが、世間に同性愛者であることを知られると人気業である芸能人には致命的なので、同性愛者であることを知られないためにメディアのスクープに気をつけており、そのため千聖は一緒に暮らすことで彩の評判を落としてしまうことを気にしているんですね。

 

これやっぱり思い浮かべるのは、実際に芸能人で同姓婚をされた、牧村朝子さんの『百合のリアル』ですね。

百合のリアル 増補版

百合のリアル 増補版

 

 

これを読むと同姓婚をすればいいなんて簡単に言えなくなります、芸能人である牧村さんは視聴者から『同姓愛は許せない』『子供が見る時間のテレビにレズビアンを出すなんて』といった声が寄せられた事があるそうです。
世間には『同性愛は許せない』人が居るんです、ですから千聖が彩との付き合いに慎重になるのはそうですよね。

 

さて、こう見るとこのままでは彩と千聖が芸能活動を続けているかぎり一緒になるのは難しい、とすると好きでやっている芸能活動をやめるか、または付き合いをやめるか、カミングアウトするかなどの選択指が浮かびますが・・・、どれもとてもツラい話になりそうですよね・・・。
ですからこの二人がどうやって幸せになるのか?がわからなかったのですが、いやーー!まさかの展開!!しかもそれがね、とてもやり方としてうまいんですよ、ものすごくうまくガルパ時空の設定を使われていて、めっちゃ驚かされました!これなら御都合主義ではないですし、デウス・エクス・マキナでもないと納得せざるを得ませんでした。まさかこんな解決策があるなんて、世界的には無理でも日本的には有りだよね!


いや、まぁもちろん彩と千聖がすぐに幸せになるかと言ったらまだ時間はかかると思いますが、確実に流れは変わったのでそう遠くない未来に一緒になれる日がくるでしょう。
現実にはこういうことはかなり難しいけど、でもこういうやり方もあるかもね?っていうのはとても大切だと思うのだ。人を動かすのって幻想だし。

あー、よかったなぁ。とてもよかった。