今日も一日健やかに物語を

おもしろいと思ったものを

『ぐりふわ-GRIEF WORK-』やらゐ著 努力しても、突然死ぬ可能性のある世界で生きている現代人へ

 やらゐさんの作品イメージはバンドリのあこちゃんへりんりんの溢れる愛を描いた、笑える作品を描かれているイメージだったんですが、今回の本は笑えない。いや、渇いた笑いは浮かぶかもですが・・・。たぶんやらゐさんの現実認識を描かれているんだと思うんです。だからあこりんのような楽しい空想の話じゃなくて、この、クソつまらない現実を描いているので読後に楽しい気持ちや、心が癒されるということはないと思います。
内容をざっくりと説明すると

人間、仕事をしないと生きていけいないので、せっかくなら誉れある仕事に就きたいと思った沓向百代は結婚式場で働くことにした。そして葬儀部で働くことになった??????? 百代が就職したのは冠婚葬祭業者だったのだ。
テンションがた落ちの百代だったが辞めるに辞められない理由があり・・・。

みたいな導入で始まります。

現代人には職業選択の自由があります、でも自分がやりたい仕事に就いてる人って全然いないと思うですよね(自分はそう)、実際の統計とか見たことないので実際のところはわかりませんが。じゃあなんで仕事を辞めたり、転職したりしないのか?と聞かれたら「まぁ趣味を楽しみながら生きていけるし、そもそもやりたい仕事ってなんなのかわからん」から。

だから百代みたいに、目標があって、しかもそれを達成するために行動しているところはとても尊敬してしまいます。ですが、百代は目標があるからこそ、目標だった結婚式場で働けなくて苦しくなるんですね。
そこに対比として、夢を仕事に出来た友人の紅林護が出てくるんですが・・・。ネタバレしてしまうのはもったいないのでこれは是非本を読んで欲しいです。

彼女の境遇を知った百代は護の言葉を思い出して、もうちょっといまの仕事を続けようと思えるんですね。仕事でもなんでもいいんですが、やっぱり多少は報われないと続けられないと思うんですよね、自分はこうやってブログを書いているけど、たぶんネットで誰かに観て貰えるかもしれないということがないとモチベーションが持たなくてこういったことを書いたりはしないと思います。百代ももしそういった偶然的なことがなかったら仕事を続けようなんて前向きにはなれなかったんじゃないかなと思うんです。んでもね、報われると思ってやってたら駄目なんだろうなとも思います、百代は冠婚部で働こうと思って頑張ってきたけど葬祭部に配属されて絶望しているわけですし。じゃあどうしたらいいのかって言ったら、やれることをやって、神に運命を任せないで生きていかないといけないんだと思う。いや、まぁぶっちゃけよくわかんないですけど。でもゴブリンスレイヤーのように生きていけたらいいなぁって最近感じている。 作品と全然関係ないことを書いてしまった気がする。まぁ基本適当なこと言ってるので気にしないでください。

 

作品の感想に戻すと百代のコロコロ変わる表情がとても印象的で、特に真顔のときとか苦笑してるときの表情が好き。
そんでもってこれがほんとにフィクションであれと切実に思ってしまった。生きて。

続きものらしいので続編で一体どうなるのかが気になります。でも読みたいような読みたくないような、怖いもの観たさ(?)みたいな感じです(笑)