今日も一日健やかに物語を

おもしろいと思ったものを

『灯火は明ルイ』 やらゐ著 自分と正反対の人間から自分を知るということ。

f:id:kenkounauma:20211203162456j:plain

やらゐさんの新刊!これはゲットしなければとあれやこれやの手を使って無事ゲットできました。


ですが、モニカは存在自体は知っていたのですが、どんなバンドなのか全然知らないで1回目を読みました。やらゐさんの手腕のおかげもあり、二人の関係性をなんとなくは察せたのですが、イベストの内容とか、450円てなんだろう?と。


実を言うとバンドリ自体はモニカが追加される前からイベストを見てなかったんですけども、今回モニカ本と言うことで、イベスト履修してきました。

いやぁ、久々に見ましたけど、やっぱりバンドリは面白いですねぇ。モニカはその名前、変化と調和をテーマにした物語なんですねぇ。

 

ではイベストも見たことですし、やらゐさんの本を読んでいくとしますか!(2巡目)

以下は本文の内容に触れるため、ネタバレ注意です。


やはりここは触れておきたいのですが、、、やらゐさんの描くキャラクター

 

めちゃくちゃ可愛くなってませんか!!??? 

 

その可愛さから描かれる瑠唯のファッションショーは、もうバンドリ界に激震が走るページになっていると思うんですよ! 正直な話、この瑠唯のファッションショーを見て、あれ、瑠唯って子可愛いな?ちょっとバンスト見てみようかなと、モニカが気になる切っ掛けになったのは間違いないです。(ページを載せていいのなら載せたいくらいです!!)

 

それと、瑠唯は表情の変化に乏しそうな子なのですが、やらゐさんの描く瑠唯からは流石表情による表現を大切にしている方だけあって、いま彼女がどんな気持ちなのかが伝わってくるんですよね。でも、表情を隠した方がいいときはちゃんと隠すところがまた、、、。


さて、初っ端から脱線してしまったので、本の内容に戻るとしますか。つくしと瑠唯のキャライベの会話から透子が自分のブランドを持っている設定を持ってきたのは素晴らしい着眼点ですよね。確かに、プロに任せているならば、透子が見繕ってもおかしくはないわけですよ。(もちろん、透子は衣装デザイナーなのでデザインをしているだけであって、コーディネートをするプロではないので厳密には違うと言えなくもないのですが、そこは透子の押しの強さで流してしまえる些細な問題でしょう。それよりも気になるのはつくしと瑠唯の会話をどこで知ったかなのですが、まぁこれも些細な(以下略))


450円を物語のなかに取り入れている点が、なるほどだなぁー。モニカ2章を履修した人ならばわかると思いますが、この450円は2人とってこれから必ずキーアイテムになるものですよね。


450円はモルフォ2章にて、透子がカフェで会計の際、ICカードにお金が入ってないことに気づかず、また現金も持ち合わせていなかったとき、瑠唯が450円を代わりに払ってくれたこと。


恐らく、透子と瑠唯を喧嘩させるために差し込まれたエピソードなのだけれども、その後の後日談で透子が返しにくるのにその時も返していない。このやりとりで思い出すのは『文学少女』なんですが。井上心葉が図書館の本を弁償するために渡した460円の弁償代に500円玉を支払ったあとに、琴吹ななせが50円玉を渡してさらに心葉から10円返してもらおうとするエピソードがあります。琴吹ななせはこのとき貰った500円玉が二人の関係をつないでくれるアイテムとして認識しているんですね。と、すると透子と瑠唯のこの450円は2人の関係性を表すアイテムとして今後も使われていくものだと想像できますよね。


二人の関係性を少し説明すると、透子と瑠唯はお互いがお互いを真逆の人間であると認識している。だけどだんだんお互いを知っていくことでいままで自分の知らなった一面を相手から発見されていく。透子はいままでなんとなくでウマくいった経験しかなかったことを瑠唯に指摘され、そんな自分を再び見つめ直す。いままで、本気で取り組んでなかったことを自覚する。瑠唯はいままで合理的に生きていくことを是としていたところを、透子から感情を見つめてみたらどうか?と言われて、感情で動いた先になにがあるのかを知るためにモニカに加入する。


となっています。モニカ2章をみると

ルイのこと、得意か苦手かって言ったら間違いなく苦手。
ノリも合わないし、気に入らないこと平気で言ってくるし。
あいつとバンドで一緒になってから、一生分ムカついてる

けど、ムカつくことだけじゃないのが、ムカつく……
あいつと一緒に弾くの、楽しんでる自分がムカつく。もしかして、
あいつがあたしを変えたのかもしれないのがムカつくよ、ホント。

 

これは透子の言葉なのですが、これが「学校」というシステムのなかで得られるものなんですよね。
学校とは、家族とは違う、自分と同じ年頃の他者を知ることができる場所です。そのなかで自分とは違う価値観で生きている人間に影響されたり、逆に影響を与えたりする場所なんだと思います。モニカは変化と調和をテーマにしたバンドということで現代社会のテーマとリンクするところがあるので、モニカの記事もどこかで書きたいなーと思いつつ、、、。


やらゐさんの本では、透子が瑠唯から「面白がっているでしょう?」と言われたことに対して怒っているわけですが、これは透子は瑠唯も一緒に楽しく服を選んでいたと思っていたから怒ったのだと思うのですが、ここで透子が怒るのは、瑠唯と仲良くなりたいから怒りだしたんだと思うんです。でも、その怒りは独りよがりの怒りなんですよね。


だから、透子がちゃんと瑠唯に対して自分の思っていることを言ったときに瑠唯はちゃんと自分の気持ちを返してくれる。


ここが、最高のエモーショナルポイントなんですよ!


瑠唯は現実的に考えて、意味のあること、結果的に得られるものがわかっているものを重視していて、感情的に行動することに対して否定的な考えを持っている子なんですよね。


そんな瑠唯が、透子に対して自分の思っている気持ちを言葉にするということは、感情に従って行動したということなんですよ。


だから透子は瑠唯も多分変わってるんだ。わたしから影響を受けているんだと感じて喜んでいるんだと思うのです。


と、ここで物語は綺麗に終わっているわけですが、、、。ここからまた完全版が描かれるみたいですね?完全版ではこのあともなにか物語が続くということなのですかね?どうなるのか気になるー!