今日も一日健やかに物語を

おもしろいと思ったものを

『逃げるは恥だが役に立つ』6話~11話 付き合ったらハッピーエンド。のその先へ。

 

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前編からの続きです。前編はこちら

kenkounauma.hatenablog.com

 

6話から最終回まで見終わったー!!

5話までで感じていた

 風見さんの、結婚することにメリットある?ということ

 

 雇用関係というシステムに縛られた関係のジレンマ

 

この二つが回収されていてとても素晴らしかったし、その先の恋愛の先にある、結婚生活の現実を描いていてなるほどなぁと、全然そこまで考えついてなかったので勉強になりました。


最初のシステムを否定して、変更するのは難しい。
 
 6話は、二人がとうとう好きの気持ちが極まってきて、雇用者と被雇用者の関係によってこの関係が成り立っていると思っているので、お互い好き同士なのに、お互いがこの気持ちを伝えたらこの雇用関係が壊れてしまうと思っているんですね。

 この二人が一歩進めないのは、7話で物語られてたと思うのですが、津崎さんは35年間彼女ができたことがない、恋愛初心者で、どうやって自分の気持ちを伝えればうまくいくのかわからないし、この年まで恋人ができたことがないということは、自分が異性から好かれるような人間ではないと思っているから、恋愛に対して臆病になっていて、みくりに対して一歩踏み出すことができないんですね。
 
 みくりは、何度か付き合った経験があるので恋愛に対する恐怖はないのですが、付き合ってきた男性の全員から「お前は小賢しい」と言われて、フラれている経験があるので、いままで津崎さんに対して色々な小賢しい面を見せている自分が受け入れられるはずがないと思っているので、一歩踏み出せないんですね。 みくりがいろいろと積極的なのは付き合った経験があるからですよね。

 それが一歩踏み出せるようになるには、この関係が雇用関係で成り立っているのではないことを知る必要があったんですね。
 
 9話にて、二人がお互いに好きであると想いが通じ合うことでようやく、この関係が雇用関係ではなくて、好きだから一緒に居るんだ。と分かり合います。

 しかし、10話にて津崎はみくりと寝ることに怖気づき、逃げてしまいます。ここはタイトルの回収。逃げるは恥だが役に立つ、生き延びることこそが重要である。

 

だけど、それでは大切なものを失ってしまうこともある。生き延びることよりも大切なことがある。逃げてはいけないこともあるということを示しているんですね。

 そうして二人はお互いに幸せなキスをして、めでたしめでたし…。

 では、おわらないんですね!!

 結婚した先に待っているのは、現実の問題、生活だったんです。

 

お互いが好き同士とわかった津崎は、この雇用関係を無くしてもいいのだと思い、みくりに提案しているのですが、みくりは仕事だったから家事をやっていたのであって、なにも報酬が発生しないのであれば家事はできない、仕事ではなくて、責任のないボランティアになるのだから気が向いたときはやるし、気が向かなかったらやらない!と宣言するんですね。 たぶんみくりが専業主婦としての生活を苦に感じない性格だったらそのまま専業主婦をつづけることができるのだと思うのですが、みくりは伯母の百合ちゃんに憧れているので仕事をする人間になりたいんですね。

 

これが結婚する、生活するということの難しさの一部なんですね。津崎は自分の家が綺麗だと気持ちがいいので、家の中を綺麗にしたい。
 
 みくりは、仕事でないのなら部屋は必要最低限綺麗なら問題ないと考えている。
 
 二人の価値観が違うわけですね。価値観が違う二人が一緒に生活することは難しい、どこかで折り合いをつけなくてはいけない。

 

これって、とってもめんどくさいですよね。

 

風見さんが結婚にメリットがある?と言っていたのを思い出してしまいます。

 

 ですが、この二人の関係が雇用関係であったならば、お互いの条件があわなくなったので終了。ということになるはずです。だけど、津崎はみくりのことが好きなんですね。好きだから離れたくない、じゃあどうするか?話し合って、喧嘩して、いろいろなめんどくさいことを乗り越えて、やっていくしかないんだと思います。
 
 結婚にメリットがある?という問いに、この作品はめんどくさいこともあるけれど、それを超えた先にあるのが夫婦なのだということを示しているんだと感じました。

 あ、あとハグのシステムを復活させたのはとても良いなぁと思いました。触れていいかわからないときに、システムがあったらそれを活用できる。夫婦のなかでシステムを作ることで機会をつくれる。システムにも良い面があるということですよね。


男の子が可愛くたっていいじゃないか!

 男性側がかっこよくて、イケメンで、頼りになって。というような強い男像じゃなくてもいいんだっていうのは時代が変わったんだなーと思います。たぶん普通だったら風見のような人間が主人公になるのに、彼はイケメンであるがゆえに、勝ち続けた人生を歩んできたゆえに、負けたことのある人間の気持ちがわからないんですね、それがみくりに惚れて、だけど振られてしまったことで初めて負けて、負けた人の気持ちがわかるようになるんですね。勝ち続けるイケメンが負けたことのある人間にやさしくできるはずがないという風に描かれるのは時代が、文脈が進んだんだなぁと感じますね。
 
 話がそれました。男性も可愛いくて良い、つまり弱くたっていいということだと思うのですが、それは女性が男性に頼るばかりではない時代になってきたからなのかなぁ?とも思います。どうなんだろ?

 

夫婦とは、主従関係ではなくて、この現実を生き抜くパートナーである。

 男は外で働いて、女は家を守るという価値観は冷戦時代の欧米で生まれた工業を主体とした働き方が求められていたから生まれたものらしいです。 昔は男性がたくさん働けば、その分だけお金が貰えて女性は働かなくてもよいということが可能だと信じられたからですね。 だけど、経済は成長し続けなかったし、収入は安定しなかった。なので、専業主婦でいつづけるのは難しくなるんですね。

 個人を大切にしようというのがいまの時代で、家に女性を閉じ込めるのはおかしいよねって思います。いま読んでる『夜を統べる王と、六つの輝晶』に出てくる、シアラという女の子のセリフなんですが

 

 「私の時空は私のものだ。私は私の生きたいように生きる。今、何をしたいのか。何をするべきなのか。決めるのは私だ。誰の指図も受けない。私の幸せは、私自身が決める!」

 「私は道具じゃない!人間だ!」

 

女性の幸せは、家で家事をすることという風に決めつけること、家に縛り付けることは、相手を道具として扱っているのに等しいということですよね。それを津崎はみくりとの問題をめんどくさいと考えてはいても、一緒に考えていこう、乗り越えていこうと思っている。みくりを家事をしてくれる道具のように考えているのはなくて、一人の人間であると認識できているんですよね。


 6話から急激に面白くなるのでそこまでで挫折してしまう人は結構いたんじゃないかな?と思います。そこまでが結構長いもの(苦笑)
 だけど、最後まで見てよかったと思います。逃げ恥、面白かったです。

 

 

夢の上 夜を統べる王と六つの輝晶1 (中公文庫)