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おもしろいと思ったものを

『孤食ロボット』岩岡ヒサエ著 生活することの難しさと大切さに涙が

孤食ロボット【期間限定無料】 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

 

2019/10/18現在、AmazonKindleにて期間限定無料で読めるみたいで、オススメされていたので気になって1巻読んでみました。

 

孤食というのはこの漫画のために作者が作られた造語なのかな?と思っていたのですが、どうやらもともと世の中にある言葉なんですね。

 

孤食とは文字通り一人で食べること、最近だとぼっち飯っていう風に言うのかな? 

 

こちらの本の内容はタイトル通りで、色々な事情で独り暮らしをしている人たちのところに居酒屋のポイント景品で食事案内アンドロイドが送られてくる。

 

孤食とか言われてしまうと身構えてしまいますが、物語はとても優しいお話なので気軽に読めると思います。 ひとりで食べる食事を否定しているわけじゃなくて、誰か自分を見ててくれる人がいることってありがたいねっていう感じです。読んでいて『ねぇ、ママ』『プリンセスメゾン』などの池辺奏さんの作品を思い出しました。

プリンセスメゾン (1) (ビッグコミックス)

 

読んでいてなるほどなーとしみじみ感じたのは『自分でご飯をつくること』が普段できていないかもしれないなーと。仕事から帰ってきて寝るまでの時間を使おうとしたらまず削ってしまいがちなのが『食事にかかる時間』で、インスタントとか冷凍食品とか外食、惣菜など、すぐに食べられるもので済ませがちです。 だから、自分のためにご飯を作って、盛り付けるお皿もちゃんと選んで、後片付けもちゃんとして。という、この『生活感』がとてもいいなぁと思うんですよ・・・。 

 

いいなぁと思う理由は、どうせなら人生どんなことでもまるっと楽しい方が、人生楽しいと思うんですよ。 だから、毎日仕事から帰ってきて、時間に追われるようにして趣味をする時間を捻出するために食事にかかる時間を削って、寝るまでの時間を過ごす。

 

なんていうふうにするんじゃなくて、どんな時間も楽しみたいなーと。でもまぁ、毎日は流石に無理だと思うのでたまにでいいんだと思うんです。『第2話 佐倉さんとお味噌汁』にある台詞の「飯の時間が楽しいな」っていうのがいいなーと思うですよねー。

 


物語としても面白くて、独り暮らし専用の食事案内アンドロイド という設定を使って色々なパターンの物語がみれて面白いんです。それこそ第2話のラストで単身赴任が終わるから、これでアンドロイドとはお別れになる という展開が、寂しいんだけど、でもアンドロイドが教えてくれたことが消えるわけではないから、悲しいことではないんだと、とても大切な思い出になったんだと感じられる、読者の自分もよいものを受け取ったなと思えるんですよね。 これって、他者がいることで自分を見つめ直すことができたってことなんだと思うんです。

 

板路 夕さんの『よあけのヴェイパー』も同じように家庭ロボットと一緒に過ごすことで自分を見つめ直す作品でしたね。

kenkounauma.hatenablog.com

 

ただ、これって別に独りでいるよりも誰かといたほうが良いって言ってるわけじゃないと思うんです。大切なのは、自分の心を癒しすことができるなにかがあること、それによって心に余裕が持てることが大切なんだってことなんだと思うんです。

自分を癒すなにかがないと海に飛び込んだり、帰ったりしてしまいますからね···。

kenkounauma.hatenablog.com

 

自分と世界との調和を図る『スティル・ライフ』で言われてることが大切なんだと思うんですよ。 

 

だから心を癒せるものだったならなんでもよくって、この本を読んで、こんなに可愛くて憎めないアンドロイドがいたら心癒されるなぁってなれたらいいよねって思います。

 

とてもあたたかい雰囲気に包まれてる物語なので、読後はとても心が癒されると思うのでおすすめです。 それと、なにかあたたくて美味しいものが食べたくなります!!(笑)