片田舎のおっさん、剣聖になる~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~1 乍藤和樹著 佐賀崎しげる原作 何者にもなれなかったおっさんになったっていいんですよ。
辺境にいた只のおっさんが、実は只者じゃなかった、、、!
一昔前前だったら、このおっさんなる人物像は「やれやれ系」のやる気ないけど、やる気出したら凄い。や「若い子相手に本気出せないでしょ?」みたいな、人生擦れているようなおっさん像が印象にある。
でも、このおっさんは違ってて、自分が本当になんでもない人間だと思ってたり、自惚れてはいけないと自己評価が低かったりする。
この人物像、これって本当に現実世界にもいそうな、ただのおじさんなんじゃないかな。
だけど、会社にるただのおじさんも、実は飛び抜けて凄いスキルを持っている人がたまにいる。凄いスキルを持っているおっさんは出世できて、役職持ちで、、、なんて現実はそんなスキルがあるだけじゃだめ。必要なのはスキルと社内の政治力なんですよね。(日本はそんなイメージ、アメリカとかはそうじゃないのかな?)
そんなおっさんは、自分が凄いスキルを持っていても気がつかない、披露する場もない。でも自己研鑽は続ける。日本はこんなおっさんに支えられていると思う。
さらに、この片田舎のおっさんの凄いところは次世代へのリスペクトをしているところ。
自分の技術を惜しみなく伝えて、しかもちゃんと伝わってる。そして、教え子が王国の騎士団長まで上り詰めている。
この、次の世代にちゃんと教えられるところが本当にすごい。会社員の仕事って考えると理想はちゃんと後輩に教えて、仕事を手伝ってもらったり、助けてもらうってのがあると思うけど、実際にはそんなの自分の仕事が忙しくてほとんど無理だったり、そもそも教える機会がなかったり、教える技術がなかったり。
だからちゃんと伝えられるおっさん、本当に凄いです。でも、こういったおっさん、本当は世の中にいるのかもしれない。ここまで凄くなくても。
この作品、エンタメとしても殺陣の演出が素晴らしいので楽しいのだけど、物語としても、何者にもなれずにおっさんになっちゃったけど、真面目に研鑽して、次世代に優しくして、ちゃんと伝える。ってことをすれば、それで良いんだって、このおっさんを見てればそう思えることが素晴らしい点なんだと思うんですよ。
続きが気になるー。原作小説はどんな感じなのかなー?