今日も一日健やかに物語を

おもしろいと思ったものを

「旅鳥とチドリノキ」桶鳴けんさん 時速100キロとうふ

やっぱり表紙が素敵なんですよねぇ、表紙から読み取れる世界観だとか色の使い方とか! 1p目の『鳥人』の説明から始まって、最後のページまでずっとワクワクしっぱなしでした! 

鳥人になるという設定をみるととても怖いものであると思うのだけれども、この世界の住人はそれをすでに受け入れているんですよね。これは1p目の『数百年前から起こりだした』という説明があるように、たぶんすでに恐怖のステップは終わったのだと推測できる。そこに至るまでには様々な悲しいことがあっただろうけど、今回のこちらの本にはそのような悲しさは一切ありません。翼を持たない人「ギン」くんが周りになにもない海に立つ樹に立ち寄るんですが、そこで普通に翼を持つ人(鳥人)と翼を持たない人が接しているんです。鳥人がここでまだなにかわだかまりがあれば翼を持たない旅人に対して恐れや警戒を持って向かうはずなんですが、それがなくって普通に友好的なんですよね。この優しい世界観がとっても良いんですよ!やはり好きだなぁ桶鳴けんさんの世界観。そしてヒロインではなく主役であるだろう「リュラ」彼女は鳥人なのだけれど普通の翼ではない翼が生えていてさらに幼い頃の記憶がなく、両親の顔も自分の名前も記憶になかったみたいなのですが。そんなの全然関係なくものすごいパッションのある女の子で、ギンの旅に付いていきたいと申し出るんですがそれの理由が、両親を探したいではなくて、ただ純粋にギンの旅の目的に興味をもって付いていきたい様なんですよね。これがリュラがヒロインではなく主役だと思うところなんですよ。ヒロインであったとしたら、幼い頃の記憶がないことをかわいそうに思って旅に連れていってあげるよ!となるところがそうではなく、少年のようなワクワクで旅への同伴を申し出るんですよね。だからこそリュラもまた主役なのだと思うのです。最後のページに『つづけ』とあるんですが、自分もつづいて欲しいです!
しかし、この世界はどういう世界なんだろ?完全な異世界なのか、ジェット機のような乗り物があるからある程度の技術力がある→もしかしたら未来の地球の話なのかな?とか色々妄想できるなー