今日も一日健やかに物語を

おもしろいと思ったものを

『水色を見ず』やらゐ著 あの頃の約束覚えていますか?現実に押しつぶされてませんか?また会ってくれますか?

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やらゐさんの新刊は前回のBDP7thで出されてた準備号の続きですね、楽しみに待ってました。 準備号で生殺し状態にされていたので、今回の本で結末を見れて良かった。

www.melonbooks.co.jp

自分の気持ちと相手の気持ちにどれだけ乖離があるか?を気にする気持ちですよね、レイヤが気にしているのは。これ、いままさに自分が感じている気持ちなので読んでいて、そーだよな、相手がどう思っているか気になるよなーって思いながら読んでいました。

 

この、相手がどう思っているかわからない。という疑問に対する答えはいくつかあると思いますが、1つは相手に直接聞く、です。または自分に対する言動を注意して見るですかね。結局は他人の気持ちなんてその人本人にしかわからないじゃないですか、それを妄想してこう思ってるんじゃないか?なんていっていても解決しません。

 

と、これが簡単にできたら苦労はしません(苦笑) これができないからディスコミュニケーション系の物語が存在しているんですもんね。
でも、そこから踏み込まないと何も変わらない、むしろ後退するのはよくある話です。いま読んでる『Learn Better ― 頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』なんですけど、この本で言われている

Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ

 

勉強とはそもそも苦労するものなんだ、という前提を受け入れる

 

この言葉はまさにいまさらながらそうだよなーと納得したのですが、人生生きていると苦労することって結構色んなところでありますけど、それってそもそも苦労することなんだよっていうことを前提として知っているか、知らないかはでかいんじゃないか?と思ったんですね。

それと『タビと道づれ』でタビが言った

どんなに気持ちいいあったかさも刺激である以上実は「痛みで」・・・
辛い時と同じようにやっぱり 傷ついているの

 

だから たぶん 人と接することは・・・ 生きていくってことは
傷ついていくことなんだと思う

 

わたし そのことがカノコちゃんに叩かれて痛かったからわかった
ユキタ君の手が あったかかったから わかった

 

航ちゃんの手が 冷たかったことも 思い出せた

だから痛みから 逃げてたいままでの自分じゃダメだって

 

これからはどんなに痛そうでも 勇気をだして 傷ついていかなくっちゃ

優しい方の 痛みに 出会うために

 

この風は優しい痛みだね とっても気持ちいい

 

 

痛いことは前提なのだから、なら同じ痛みでも、優しい方の痛みに出会う方を選ぶということ。この台詞を思い出します。

kenkounauma.hatenablog.com

 

『水色を見ず』のレイヤは花ちゃんを駅で見つけるまで、ものすごく葛藤しています。でも、一歩踏み出して花ちゃんのもとへ歩き出しています。レイヤは優しい方の痛みに出会うために踏み出したんですね。ここでいいなーと思うのは、ここまでレイヤの内面を描きだしていたのを最後、あえて描いてないところです。ここでのレイヤの気持ちを読者の想像に任せたんですね、たぶんこれってひとりひとり歩き出す理由が違うからなんだと思う。読んでる人が見つけ出した、優しい痛みに出会うための理由を。それはあの頃の約束を覚えていたから、かもしれないし、ギターをずっと続けていたんだと思ったからかもしれないし、あなたは変わらないねと思ったからかもしれないんだ。

 

それと、花ちゃんに出会うまでのレイヤの物語を再構成しているのもいいですよね! これを読んで久々にバンドリ2期8話?を見返したんですけど、花ちゃんとレイヤが作った歌「ナカナ イナ カナイ」

また会える 信じてる 並んで空を見上げる 同じ夢と同じ月 

 

ずっと追いかけ続けてた どんな遠く離れても この空は繋がってる

 

さよならは言わないで  笑おう 進もう 歩こう 僕と君が感じてた 大好き

 

泣かない 泣かない 泣かない 唱えたなら涙ない だけど前が見えないほど 

 

思い出は どしゃぶり だからふたりでこの歌を 歌って 帰ろう

 

 

まじで名曲だ・・・・。『ゆるキャン△』の りんちゃんとなでしこが連絡も一切無しで、だけど二人とも別々の場所でソロきゃんしていたという好きなことをしていると行動がシンクロすることがあるということを示しているのを思い出すのですが、花ちゃんとレイヤも好きなことを続けていたから、たまたま駅で連絡とか一切無しに出会うことが出来たんですよね。

ゆるキャン△ 3巻 (まんがタイムKRコミックス)

それこそが、友達ですよね。一緒に居ることを、一緒に行動することを同調圧力的に求めるのではなくて、好きなことをやっていたら、相手も好きなことをやっていて、同じところにいる。相手も同じことをしているだろうと信じられる。それを花ちゃんとレイヤはやっているんです。信じているから言葉も交わさずに音楽で繋がっているから、歌の途中で入ってくるんだ。


と、こう書くとやらゐさんの本と全然違うんですけど、それはそれです。結局はみた人がなにを感じるか?が重要だと思うので。やらゐさんのレイヤ(以下れゐあと呼称)はめちゃくちゃ葛藤していて、いまでも同じ夢を見ているかを心配している。これもまた面白い視点だと思うんです。すごいです、自分にはそんな発想ありませんでした。このれゐやでアニメ2期の9話以降を再構成したらどうなるのか?も見てみたいですよね・・・。

 

今回のやらゐさんの新刊、どちからかと言うとオリジナル同人の方の雰囲気ですよね。個人的にはこういうのも好きなので、また次があったら見てみたいです!

kenkounauma.hatenablog.com

 

 

記事のタイトルはすかすかを真似してます。(どうでもいい情報)