今日も一日健やかに物語を

おもしろいと思ったものを

『騎士譚は城壁の中で花ひらく』普段は意識しない騎士見習いの日常

騎士譚は城壁の中に花ひらく 1 (ガルドコミックス)

 

確か新刊漫画の中から見つけての表紙買いだったかなぁ。読んでいるときはとにかく、いい、うん、いいね。っていう感じで言語化できなかったんですが、ちょっとどこがいいのかを考えたら、たぶん見習い騎士っていうのを描いていて、さらにその生活圏内の風景が新鮮でよかったからなんじゃないかなーっていまは思いますね。

あらすじ
剣を取り、民を守る「騎士」。その称号を得る為の見習い期間……騎士見習いの仕事は、剣の稽古でも馬を乗りこなす訓練でもなく、馬の世話から掃除までなんでもござれの雑用だった。「錠の城≪クラウストラ≫」で騎士を目指す見習い・ロサの成長譚、開幕!

comic-gardo.com

いままでの読書歴で騎士の見習いを描いたものを読んだことがなかったので、とても新鮮な感じでした。

中世騎士って言うと戦っているとか恋してるとかそんな感じのイメージ。でも、見習いってなにをしながら過ごしてるのかイメージがなかったのですが、この作品の主人公、ロサ=スカーラエの視点から見る、騎士達の食事や訓練などの生活風景。自分が暮らしている街の様子。

騎士の生活風景はなとなく想像していた通りなのですが、騎士見習いの目を通して見るとカッコよくて、将来こうなりたい!と思うようなキラキラとした存在として目に映っているんですよね。

そして、ロサの生活している場所の様子が物語のなかでも描写されているし、コマのなかでも俯瞰図や断面図などをつかって描写されているので、まるで、体験したかのように、おぉ!なるほど!そうなっていたのか!って感じさせてくれるんですよね。

今、一巻を読み返しながらこれを書いてるのですが、騎士の姿だけじゃなくて、料理長やガラス職人、ロウソクの作り方やお祭りの様子など、物語の間に挟まれたこういった話が、この漫画を世界を好きになる要素なんだなーって思います。二巻でのパン屋と吟遊詩人なんかは、(元)騎士だったりで、ロサの世界が広がっていってて、城攻めエピソードでのセリフになるのかなぁと思います。


騎士の日常を描いた作品で思い出したのは『ランドリオール』、ちょっと短いけど『夜を統べる王と六つの輝晶』、それと騎士じゃなくて武士だけど『新九郎、奔る!』も見習い武士の物語だったのか!!と気が付いて面白さがわかった気がします。

 

とまぁ、見習い騎士の日常を描いているので、日常系漫画なのかな?と思っていたのですが、二巻ではまさかの城攻めにあっていて驚きでした・・・。

 

このエピソードでなるほどなぁと思ったのは、この体験でロサが必要な強さとはなにか?に気が付くための伏線的な話なのかなと思ったんですね。彼女は自分が強い騎士だったら自分の国を守れたと思って、騎士を目指しているのですが、この城攻めのエピソードで描かれるそれぞれの人の戦い方を見たことで、強い騎士なだけでは国を守ることはできなくて、例えば、火矢で木を燃やされないようにするために皮を貼るとか、籠城中の食糧計画や薪などの消耗品をどうするか、衛生面にも気をつかわなくてはいけないことなど。作中の言葉で

それまで戦争とは

互いに暴力をぶつけ合うことだと思っていたけど

ぼくたちが戦っているの
目の前の敵というより

「戦争」という状況
そのものかもしれなかった

 

ロサは少し成長したことで戦争とは暴力によって解決されるものではないことを学んだんですね。だから恐らく、いままでのように力強い騎士を目指
すだけではなくて、城を国を守るということはどういうことなのか?を考えていくのではないのかな?とこれからの展開にわくわくです!!