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おもしろいと思ったものを

『魔法の国の豆スープ』せんさん スッゴく好きです

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11月28日現在、こちらの作品は3巻まで刊行されてます。この作品に最初出会ったのが今年の5月5日のコミティアででした。
一緒に売られていた『獣の王と逃亡兵』も買い、家で読んで、興奮しました。すごく面白かったんです。この面白さを言葉にしたい!でもどう表現したらいいのか、言葉が出てこない・・・、とうんうん悩みながらとうとう3巻を読むまで書けずにいました。ですが、ようやくこういうことなんかな?っていうことがわかってきたのでそれを書き出していきたいと思います。

あ、ネタバレあります。

 

『魔法の国のスープ 1』通称まめすぷ。まずは表紙から、1巻は白にキャラ6人。これは超絶勝手なイメージなのですが、1巻はまだまだ無垢な子供のカルルとその周辺にいる人たちの関係性を表していて、カルルを見つめるテンテからはテンテはカルルのことが好きなんだなーってのが伝わってくるし、イサラを見上げるナターシャの頬には汗が出ていて、元気のいいイサラを心配しているように見える。カルルを見るトトの目はなんだか不思議なものを見るような観察しているように見える。ティティは笑顔だけどなんだか一人だけ浮いたような存在に見えなくもない。

1巻なんですが、3巻まで読むとあー、ここに伏線があったのかと気がつくところがあって、アドが殴らたあと繁華街なのかな?人通りの多いところを歩いてるんですが、そこに大人二人が会話してて「やはり魔法による~」なんて言ってるんですよ。でもこれすげー自然に流されるので全然気にも止めてなかった、そんでもって1巻のラストでトトが過激派の人間を蹴散らしてるんですがなんの過激派なのかここでは明かされてなくてなんだったのかわからなかったんですが、これは魔法使いによる国の統治を目指す組織が居たんだったこともわかる。

ここで1巻ではなんでこの組織とかが見えてこないか?というか表に出していないのか、というと1巻と2巻まではまだ『子供』の目線で物語が紡がれているからなんだと思うんですよ。子供の目線というとどういうことかって言うと、大人に守られて生きていける、世間のことなんか気にしなくてもいい存在のことだと思っているんですが、国の革命を目指す組織が出てきてもそんなのは『カルル』には関係ないんですよ。過激派ってのがいることがわかってもそれは1巻では主流の話じゃない、だからそんな会話があったことも、過激派がいたことも気にならない。

あとは1巻で語りたいのはイサラとナターシャの関係性ですよ!イサラはものすごい熱い性格なのに氷の魔法を使ってるところがなんか面白い。性格と得意な魔法は関係ないんだなー。とか、イサラとナターシャが仲直りする台詞がすげーーー好き!

「二人でひとつなんじゃない、二人だから二人以上になれたんだ」

すげーーー!なるほどなーーー!!なんだろう、依存じゃなくて共存ってことかなーー!?


『魔法の国と豆のスープ 2』通称まめすぷ。表紙は青緑色でカルルとニルバの二人。この巻を象徴している表紙だと感じたんですが、1巻から表紙に色がついて青緑色、自分が連想する色のイメージなんですが落ち着いた、涼しげな、優しい、成長でしょうか、カルルはニルバと出会うことで自由のままに生きていくことができない人がいることを知るんですよ、表紙の色はカルルの心情を表していると思ってみるとおもしろい。カルルの表情がまたいいんだなー、納得のいってないって顔に見える。
さて、カルルとニルバについて語る前に、まずはテンテのお話を。2巻ではテンテがなんでカルルのことを好きなのか?が描かれています。テンテはどうやら没落しかけの家の子みたいなんですね。おそらく早く功績をあげることで上に取り立ててもらい、家名を守ろうとしたのでしょう。(これって1巻ででてくるアドも同じ境遇ですよね、だからアドはテンテに興味があるんじゃないかな?)
だからカルルは勉強して、訓練して、12才で高等教育に上がるための試験受けられるところまで来た。しかもそれが不得意な実技でだ。そこには自分と同じ年のカルルが居て、テンテは彼女がすごい才能を持っていることに気がついてなぜか恐怖するんです。ここで恐怖するのは、おそらくなんですがこれから先の道で自分よりも優秀な人がいるであろう道で、その人にも勝たなければ上にのしあがれないことに恐怖したんじゃないかな、これってだって終わりがないんだもんね。どこまで行けばゴールなのかがわからない、どこまで行けば安心できるからわからないから。そんなことがありつつ向かえた試験、試験には受からなかった。それでテンテは絶望するんですね、そんなときに声をかけてきたカルルについ当たってしまうんです「何も背負ってないお前なんかと私を一緒にするな!」と。
こんな状態のテンテを今すぐ救って見せろ!と言われたら、どうすればいいのか自分にはわかりません。ですが『カルル(せんさん)』はやってのけるんです。どうやってか?それは『空を飛ぶ』ことで。
いやー、そうなんですよね。最近だとアニメ『ゴブリンスレイヤー』の第8話でゴブリンスレイヤーが言う

「小さい頃、一歩踏み出したら地面が崩れて穴に落ちて死ぬんじゃないかと、そう思って歩くことさえ躊躇っていた時期がある」

「怖かろうが歩くしかないと気づくまで随分かかった」

という台詞がありますが、これってテンテの怖くて歩けない状態を救うには?→怖くても歩くしかない。というとても厳しいですが、答えとして正しいんだと思うんですよね(自分は学がないので知りませんが他の解もあると思います)。でも、なんだろうカルルは歩くことが出来ないなら飛べばいいじゃないか。みたいな答えをテンテは見いだしたのかな、歩くだけが道じゃないみたいな?そう考えるとおもしろくないですか。表紙裏の空を見上げるテンテにエモさを感じる・・・。

さて次は王国の第1王女 ニルバとカルルについてなんですが、この王女との出会いがカルルを大きく変えてしまうことになるなんて正直2巻の時点ではよめなかったです。では、なにがあってカルルは変わっていくのか?なんですが、隣国の王国の王女であるニルバが共和国に来るということでパーティーが開かれるのですが、その目的が共和国の隣国である帝国の第四皇子と結婚するために共和国に立ち寄ったみたいなのです。ですがどうやら王女が自ら望んでの結婚ではないらしく、政略結婚であることがわかるんですね。もちろん王女はそれを承知している。でも嬉しいか?と聞かれてたらそれは嘘になると答える。そして王女はカルルに

「せっかくこの国に来たのに街を歩く程度の自由すら許されないと思うと・・・・・・ 本当に逃げ出したいくらいだ」

と口にするんですよ。そんな事情を知ったカルルは友人達と協力してニルバを街に連れて行くことにするんです、テンテを助け出したように。
無事にニルバを街に連れ出すことが成功したカルルは綺麗な夕焼けのなかで言うんですね

「もし、君が逃げたいと思うなら、それを手伝えるかもしれない」

「ぼくたちは子供だ、女でも男でもない 君も僕も子供なんだ、だから、」

この言葉にニルバはこう返すんですね

「じゃあ、私はもう子供じゃない」

ニルバは国の命運を背負った子供です、もし婚約を断り逃げ出せば国は帝国から理不尽な要求をされるかもしれません。もちろん、そんなの知ったことではないと個人を大切にするなら逃げ出すという選択もありです。だけどニルバは自分の育った国が好きなんです、守りたいんです。大好きな国を国民を守るために結婚を選ぶんです。王女はもう自分のことだけを考えていればいい子供じゃない、大人になったのです。ならざるをえなかった。このニルバの決断を聞いてカルルはショックを受けるんですね、彼女は頑張れば解決出来ないことはないと心のどこかで思っていたんでしょう、嫌なことは嫌と言っていいんだとも。だからニルバが嫌なことを受け入れた姿を見て、そんなのは嫌なんだと自分の気持ち的にも受け入れられないことなんですよね。嫌なことは頑張って解決できると思っていたカルルが、どうしても解決できないことがあるんだと知った瞬間なんだと思うんですよね。

さて、そんなカルルがどうなったか?が3巻で描かれます。カルルは嫌なことが解決出来なかったのは自分がなにも知らないからだと思って、まずは王国と帝国と共和国について勉強するんですね。そんな折、共和国内では過激派がとうとう行動を開始し、祭りの会場を攻撃する、だが会場にたカルルが無意識に自分の魔法を使用し、その攻撃を防ぐんですね。ですが国はそんな組織がいることは隠したいがためにこの事件の責任をカルルに被せてしまうんです。膨大な魔力を持った少女が魔力を暴走させたことによる事件であったと。(共和国が事件を隠蔽するのは国内的には国民を安心させてあげたいからでしょうし、外的には帝国の存在があるからですよね、もし国家の転覆を考えている組織がいることが帝国に知られてしまったら・・・)
そう、カルルは大きな流れに流されてしまうんです。子供であるカルルに降りかかった事件。これを解決するにはどうすればいいのか?そう、大人になるしかない。これは一人の少女が大人になる話なんだ!とやっと予想をたてることができました。

今回の表紙絵は赤で目を瞑るテンテを見つめるカルル。1巻の表紙では天真爛漫に、この先も幸福な日々がつづくと無邪気に信じているであろう顔のカルルが2巻ではニルバから目を逸らして現実を受け入れられないように見える。しかし3巻ではテンテを真っ直ぐに真剣な表情で見つめるカルル。なにかを決めたのでしょう。テンテの顔を見つめて・・・。
あと!自分はペーパーをてに入れられなかったのですが、Twitterで公開されてるのを読んだら!!ホジェク、めちゃくちゃ過酷な人生、カルルにはそんな結末が訪れないことを祈りたい。ですが、ホジェクという前例が居たことはカルルにとってすごく大切なことだと思うのだ、最近読んだ『異世界迷宮の最深部を目指そう』の3巻でのマリアとアルティの関係を思い出します。いや、まじでどうなるんだーーーー!!!!

 

つづく4巻、最終巻ということで楽しみでもあります!が終わってしまうのは切ないなー・・・。

はー!!!まめすぷおもしろいぞ!!みんな読むんだ!!そんでもってせんさんのHPに載ってる小説も読むんだ!!まだ『火の影を踏む』しか読めてないけど、戦記ものが好きなら絶対好きになるから!朱羅さまの激動の人生に泣くんだ!!!!
この小説も感想書きたいなー。

 

 

 

異世界迷宮の最深部を目指そう 3 (オーバーラップ文庫)

異世界迷宮の最深部を目指そう 3 (オーバーラップ文庫)